10月1日から動く3つの改正 ― 免税事業者への支払い、最低賃金、カスハラ対策
2026年10月1日、消費税の控除の割合が変わり、
カスハラ対策が法律上の義務になりました。
そして10月4日には、福岡県の最低賃金が上がります。
どれも、何もしなければ静かに利益を削っていく改正です。
本号では、その影響を数字でお示しし、
今月のうちに打てる手をお伝えします。
- ① 免税事業者への支払い、控除が80%→70%に(10月1日から)
- ② 福岡県の最低賃金、1,114円に(10月4日から)
10月1日から12月2日までに、都道府県ごとに順次引き上げられます - ③ カスハラ対策の義務化(10月1日施行)
① 10月1日から、免税事業者への支払いで消費税の「3割」が戻らなくなります
インボイス登録をしていない取引先への支払いについて、
仕入税額控除の割合が10月1日から
80% → 70%
に下がりました。
どれくらい効くか
未登録の取引先に、年間1,100万円(税込)を支払っている会社の場合
| 消費税相当額 | 100万円 |
| 控除できない額(従来) | 20万円 |
| 控除できない額(10月1日~) | 30万円 |
| 差額 | 年10万円の負担増 |
この10万円は、値引きでも赤字でもなく、ただ消えていく金額です。
経理の方に必ずお伝えください
判定の基準日は、支払日でも請求書の日付でもありません。
「引渡し・役務提供を受けた日」です。
- 9月30日までに納品・作業完了 → 80%
- 10月1日以降に納品・作業完了 → 70%
10月に支払う9月納品分は、80%のままです。
ここを取り違えると、申告のやり直しになります。
この先も下がります
- 2026年10月~ 70%
- 2028年10月~ 50%
- 2030年10月~ 30%
- 2031年10月~ 0%(廃止)
一度きりの話ではありません。
未登録の取引先が残っているなら、今期のうちに方針を決めておくことをおすすめします。
ただし、交渉の進め方にはご注意ください
「登録しないなら消費税分は払わない」
「登録しないなら取引を切る」
この2つは、独占禁止法や取適法(旧・下請法)の違反になり得ます。公正取引委員会が実際に注意を行った類型です。
- ○ 登録の有無を確認し、今後の取引条件を協議する
- × 一方的に減額を通告する
- × 協議に応じず取引を打ち切る
7月号でお伝えしたとおり、取適法では「価格協議に誠実に応じる義務」が明文化されています。
コストを抑えたい場面ほど、進め方が問われます。
自社の取引が取適法に沿っているか、7月号でご案内した「取適法チェックリスト」であらためて点検してみてください。
インボイスへの対応を機に、取引条件を見直す会社ほど、確認しておきたい項目です。
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交渉の文面や進め方でご不安があれば、着手前にご相談ください。あとからの是正より、はるかに安く済みます。
② 10月4日から、福岡県の最低賃金が1,114円になります(57円の引上げ)
10月1日から12月2日までに、都道府県ごとに順次引き上げられます
1,057円 → 1,114円(+57円)
発効日:2026年10月4日
福岡県で1,100円台に乗るのは、はじめてです。
人件費はどれだけ増えるか
フルタイム(1日8時間・月20日)1名あたり
57円 × 8時間 × 20日 × 12か月 = 約10.9万円/年
さらに社会保険料の会社負担分も連動しますので、実質の負担増は1割強の上乗せとみてください。
該当者が5名なら、年間60万円規模の増加です。
「うちは月給だから関係ない」が、いちばん危ない
最低賃金は、月給者にも適用されます。
月給を時間額に換算して判定します。
このとき、次の手当は計算に入れられません。
- ● 固定残業代(みなし残業手当)
- ● 通勤手当
- ● 家族手当
- ● 精皆勤手当
- ● 賞与など臨時の賃金
固定残業代を含めた総額では足りていても、それを除くと最低賃金を割っている——このケースを、実際にしばしば見かけます。
最低賃金を下回る部分は無効となり、差額は過去にさかのぼって請求されます。
退職者からまとめて請求が来ると、金額は小さくありません。
10月4日までに、月給者を含めた時間額の棚卸しをおすすめします。
増えた分を取り戻す制度が2つあります
◆ 賃上げ促進税制
賃上げした額の一部を、法人税から直接差し引けます。
中小企業は最大45%。控除しきれない分は5年間の繰越しが可能です。
決算のときに効いてきますので、顧問税理士にご確認ください。
◆ 業務改善助成金
賃上げとあわせて設備投資をすると、その費用が助成されます(最大600万円)。
令和8年度は予算も拡充されています。
ただし申請の締切が発効日前後に設定されるため、今年度分をお考えなら、至急ご確認ください。
「上げるしかない」で終わらせず、使える制度まで含めて設計するのが得策です。
③ 10月1日、カスハラ対策が義務になりました
10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスタマーハラスメントへの対策が、すべての事業主の義務となりました。
従業員1人でも雇っていれば対象で、経過措置はありません。
求められるのは、次の3点です。
- 方針の明確化と周知
- 相談体制の整備
- 発生時の適切な対応
「何もしていない」状態は、それ自体が義務違反になり得ます。
この3点に、そのまま対応するサービスをご用意しています。
対策ポスター、初期対応マニュアル、従業員向け研修動画、弁護士ホットライン(外部相談窓口として利用可)などをひととおり揃えたものです。
▼ クレーマー・バスターズ
クレーマー・バスターズ|輝翔法律事務所
なお、カスハラ対策は「守り」の話に見えますが、1件の長時間クレームに費やす人件費、対応疲れによる離職と採用のやり直しを考えれば、これも十分にコストの話です。
お知らせ
ニュースサイトに掲載されました
「クレーマー・バスターズ」の提供開始について、9月2日に配信したニュースリリースが、西日本新聞、東洋経済オンライン、現代ビジネス、NewsPicks、PRESIDENT Online など17のニュースサイトに転載されました。
また9月17日には、RKBラジオ「田畑竜介Grooooow Up」に出演し、法改正とカスハラ対策についてお話ししました。
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今回の2件は、いずれも税務と労務にまたがる話です。
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